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住宅取得等資金の贈与における「相続時精算課税制度」の活用マニュアル
住宅取得等資金の贈与における「相続時精算課税制度」の活用マニュアル
制度のコンセプト:
贈与時の税負担を抑え(最大2,500万円まで非課税)、将来の相続時にその贈与分を合算して相続税で精算する制度。
2024年からの新ルール:
年間110万円の基礎控除が新設。この範囲内なら将来の持ち戻しも不要。
制度の仕組み
「今、大きく渡して、後でまとめて計算」
贈与時(現在):累計2,500万円まで贈与税は0円。
2,500万円を超えた分には一律**20%**の贈与税(相続時に控除)。
+毎年110万円までは申告不要・相続合算不要。
相続時(将来):「亡くなった時の財産」+「贈与された2,500万円分の財産」を合算。
合算した総額に対して相続税を計算。
※すでに払った贈与税がある場合は、相続税から差し引く(多ければ還付)。
住宅資金ならではの「特例」メリット
通常、相続時精算課税は「贈与者が60歳以上」という条件がありますが、住宅資金の場合は緩和されます。
年齢制限の撤廃:贈与者(親・祖父母)が60歳未満であっても利用可能。
対象となる物件条件:床面積が40㎡以上240㎡以下であること。
中古住宅の場合は一定の耐震基準を満たすこと。
併用できる最強の組み合わせ:**「住宅取得等資金の非課税特例(最大1,000万円)」**と併用可能。合計最大3,500万円まで、今の税金をゼロにして送金できます。
手続きのステップと必要書類
申告を忘れると、高額な贈与税(暦年課税)が課されるため注意が必要です。
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順序 |
タイミング |
アクション |
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Step 1 |
贈与時 |
贈与契約書の作成、銀行振込での受取 |
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Step 2 |
翌年3/15まで |
入居(原則として贈与の翌年3月15日まで) |
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Step 3 |
翌年2/1〜3/15 |
管轄の税務署へ確定申告 |
【主な必要書類】
① 贈与税の申告書
② 相続時精算課税選択届出書
③ 戸籍謄本(親子関係の証明)
④ 登記事項証明書(面積等の証明)
⑤ 売買契約書または請負契約書の写し
利用上の重要チェックポイント(リスク管理)
撤回不可: 一度選ぶと、その贈与者からの贈与は一生「暦年課税(110万円枠)」に戻れません。
小規模宅地等の特例との関係: 住宅を贈与でもらってしまうと、将来の実家相続時に「小規模宅地等の特例(評価額80%減)」が使えなくなるケースがあるため、土地と建物のどちらを贈与するかは慎重に検討が必要です。
住宅資金3,000万円贈与の税金シミュレーション1. 【計算例】3,000万円を贈与した時の税金
「住宅取得等資金の非課税特例」と「相続時精算課税」を組み合わせた、最も税負担が軽くなるパターンです。
※2024年以降の新ルール適用。
- 贈与総額:3,000万円
- 内訳:
- 住宅資金非課税枠:1,000万円(※質の高い住宅の場合)
→ 将来の相続財産に加算されません(完全非課税)。
-
- 精算課税 基礎控除:110万円
→ 2024年新設。申告不要・相続合算不要。
-
- 相続時精算課税 適用分:1,890万円
→ 2,500万円の枠内のため、贈与税は0円。
→ 将来、相続が発生した時に「1,890万円」を相続財産に足して計算します。
結果:今回の贈与税 = 0円
【贈与時のキャッシュフロー】
- 親の口座 子の口座へ 3,000万円 移動
- 税務署への申告:必要
- 納税額:0円
【2,500万円特別控除の消化状況】
- 今回の使用分:1,890万円
- 残りの枠:610万円(将来、同じ親からの贈与に使える)
【右側:将来の相続時のイメージ】
- 相続財産(現金・不動産など)
- + 贈与された 1,890万円(※1,110万円分は加算しなくて良い)
- = 合計額に対して相続税を計算
3.メリット・デメリット対照表
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メリット |
デメリット・注意点 |
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早期の資産移転: 若いうちに住宅ローン負担を減らせる。 |
暦年課税の放棄: その親からの「年間110万円の通常贈与」は二度と使えなくなる。 |
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節税効果: 110万円の基礎控除+住宅非課税特例の「二重取り」が可能。 |
申告義務: 税金が0円でも、期限内に申告しないと特例が取り消され、多額の課税がくる。 |
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値上がり対策: 贈与時の時価で相続税が固定される。 |
評価額の固定: 逆に不動産が暴落しても、贈与時の高い価格で相続税を計算する。 |
4.注意書き
- 申告期限: 贈与を受けた翌年の3月15日までに申告しましたか?
- 入居期限: 贈与を受けた翌年の3月15日までに居住を開始しますか?
- 面積要件: 登記簿上の床面積は40㎡以上240㎡以下ですか?
- 所得制限: 受ける人(子・孫)の合計所得金額は2,000万円以下ですか?
「既に建築・入居済みの住宅ローンを、親御さんが相続時精算課税制度を使って贈与(返済)すること」についての説明
制度上の「住宅取得等資金の特例(60歳未満でもOKなルール)」を使えるか、通常の「相続時精算課税」になるかによって、条件が異なります。
1. 贈与の方法(2つのパターン)
パターンA:住宅ローンの「代位弁済」または「返済資金の贈与」
息子さんの住宅ローンの残債を、親御さんが肩代わりして支払う(または返済資金を渡す)形になります。
方法1: 親御さんが銀行へ直接、息子さんのローン代金を振り込む。
方法2: 親御さんが息子さんの口座に資金を振り込み、息子さんが繰り上げ返済を行う。
※いずれも「贈与」とみなされるため、相続時精算課税の申告が必要です。
2. 「住宅取得等資金の特例」が使えるかの判断
ここが最も重要なポイントです。
① 贈与を受けた年(ローン返済した年)の「翌年3月15日」までに新築・入居した場合
この場合は、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」や「相続時精算課税の住宅特例(60歳未満でも可)」が使えます。 (例:令和6年中に住宅を建て、同年中に親からローン返済資金をもらった場合など)
② 既に数年前に入居しており、現在のローンを返済する場合
この場合、「住宅取得等資金の特例」は使えません。 なぜなら、特例は「これから家を建てる・買うための資金」が対象であり、過去に建てた家の「ローン返済」は原則対象外だからです。
ただし、**通常の「相続時精算課税制度」**としての贈与は可能です。
条件: 贈与者(親)が60歳以上、受贈者(子)が18歳以上であること。
メリット: 2,500万円までは贈与税が非課税になります。
注意点: 親御さんが60歳未満の場合、この制度は使えません。
3. 手続きの流れ
贈与契約書の作成 「住宅ローンの返済資金として金●●円を贈与する」旨を記載した契約書を作成します。
資金の移動 証拠を残すため、必ず銀行振込で行ってください。
住宅ローンの返済 銀行で繰り上げ返済の手続きを行います。
税務署への申告(翌年2月1日〜3月15日) 「相続時精算課税選択届出書」と「贈与税の申告書」を提出します。
4. 注意点:住宅ローン控除への影響
ここが落とし穴になることが多いです。
住宅ローン控除の減少: 親御さんからの贈与でローンを完済、あるいは大幅に減額すると、息子さんが本来受けられるはずだった**「住宅ローン控除(所得税の減税)」が受けられなくなる、または減額される**ことになります。
トータルでの損得計算: 「贈与税を払わずに済むメリット」と「将来受け取れるはずの住宅ローン控除が消えるデメリット」を比較検討する必要があります。
まとめ
親御さんが60歳以上であれば、既に住んでいる家のローン返済でも「相続時精算課税」を使って2,500万円まで無税で贈与できます。
親御さんが60歳未満の場合、入居から時間が経過しているローン返済については、この制度は原則使えません(通常の高い贈与税がかかります)。
参考
「暦年贈与(通常の贈与)」と「相続時精算課税制度」では、その110万円の扱いが全く異なります。ここが2024年改正の最も複雑で、かつ重要なポイントですので、整理して解説します。
1. 「暦年贈与」の場合(従来からの仕組み+改正)通常の暦年贈与を選んでいる場合、「亡くなる前の一定期間」の贈与は相続財産に足し戻すルールがあります。持ち戻しの期間: これまでは「3年」でしたが、2024年以降の贈与から段階的に**「7年」**に延長されます。110万円の扱い: 暦年贈与の場合、年間110万円以下の贈与であっても、相続開始前7年以内のものは相続税の計算に含めなければなりません(※延長された4年分については、合計100万円までは加算不要という緩和措置はあります)。
2. 「相続時精算課税」の場合(2024年新設のルール)今回ご質問の「相続時精算課税」を選択している場合、ルールが劇的に変わりました。新設された控除: 2024年1月以降、相続時精算課税を選んでいても、毎年110万円までは基礎控除として差し引けます。相続時の扱い: この「110万円」分については、相続時に足し戻す必要がありません。比較まとめ表項目暦年贈与(通常の贈与)相続時精算課税(2024年〜)年間110万円の控除ありあり(新設)相続時の足し戻し7年分を足し戻す足し戻さなくて良い2,500万円の特別控除なしあり(将来の相続時に精算)
3. 住宅ローン返済に使う場合の注意点もし、既に住宅ローンを抱えている息子さんのために、親御さんが**「相続時精算課税」**を選択して資金を出す場合:一括で出す分(例:2,000万円): 2,500万円の枠内なので贈与税は0円。ただし、将来の相続時に2,000万円全額が相続財産に加算されます。毎年110万円ずつ出す分: 贈与税は0円。かつ、将来の相続時に加算する必要もありません。
【結論】「7年前まで遡って相続税を計算する」のは、あくまで暦年贈与の話です。相続時精算課税を選んだ場合の「年110万円枠」は、**どれだけ長生きしても、亡くなる直前の贈与であっても、相続財産に足し戻さなくて良い(=完全に非課税で渡せる)**という非常に強力なメリットになります。
息子さんの住宅ローンを肩代わりする場合「一気に大きく返済(2,500万円枠を利用)」するのと、「毎年110万円ずつ返済(新設の基礎控除を利用)」**するのを組み合わせるのが、現在の税制では最も効率的です。
E-MAIL:k-saito@legacy-es.jpへご相談メールをいただければいつでも説明させていただきます。

