贈与財産の裏付けと記録が大切の画像

贈与財産の裏付けと記録が大切

相続

斎藤 一彦

筆者 斎藤 一彦

不動産キャリア7年

顧客からの信頼
フットワークの良さ
提案力

【贈与は双方の合意が前提合意の証拠が必須】
節税対策で生前贈与をする場合、誰の目にも贈与だとわかるように手を踏んで財産の移動を行うことが何より
重要なポイントになります。生前贈与をしておいたのに、被相続人が亡くなり、いざ相続の手続きを行おうと
すると、税務署から贈与の事実を認められないといわれる場合があります。
なぜそのようなことが起こり、どうすれば避けられるのかを確認していきましょう。大切なのは、「贈与」の
事実は単純に別の口座に預金を移しただけでは成立しないということです。
贈与は、贈与者と受贈者の双方の意思と合意がなければ成り立ちません。つまり、その合意を証明できなけれ
ば、「贈与の事実は存在しない」と扱われかねません。双方の意志と合意を証明するためには、贈与が成立し
た時点で一定の手続きを踏んでおくことが有効です。
たとえば、生前贈与に子ども名義の口座を開設し、そこに親が預金を振り込んでいたとします。そのとき、通
帳の名義は子どもでも通帳や印鑑が親の手元にあっては贈与とは認められません。実質的な所有者は親のま
ま、だからこそ管理しているのも親だと判断されてしまうのです。
名義だけが移された財産を「名義預金」といいます。税務署が贈与の事実を判断する際の基準は、預金の名義
ではなく財産を誰が管理しているかで、「名義預金」は管理している親の財産とみなされるからです。この例
の場合、贈与金を入金する通帳を子どもに渡すだけでも効果的です。これは通帳を所有している子どもが口座
の管理者だと判断されるためで、この口座に移された預貯金は贈与されたものだと認められますもちろん実際
に子どもが利用している口座で贈与財産をやり取りすると、さらに効果的です。個別に口座を用意する手間も
省け、誰がみても贈与者と所有者が別であることがわかります。
【契約書や課税証明で贈与の記録を残す】
ほかに有効な手段として、契約書のかたちで贈与の記録を残しておくという方法もあります。
すでに述べたように、贈与が認められるためには、贈与の事実を贈与者と受贈者の双方が確認し、同意してい
ることが必要です。口座を移しその金額や名義が誰にあるかを明らかにしておくだけでなく、お互いに合意し
ている旨を書面に残すことが何よりの証明になります。
この場合、両者の同意を示す署名や印鑑、金額などの具体的な記載が必要です。銀行によってはそのための書
式が用意されているので、贈与を考えている場合は調べておくとよいでしょう。
また、贈与金額を暦年贈与の基礎控除額110 万円よりわずかに多くして、予め贈与税を納めておくのも有効
です。その場合、財産の贈与を受けた事実を税務署に申告し、その分の贈与税を支払います。多少手間はかか
りますが、納税の記録があることで、贈与は税務署から認められたということになります。贈与税を納めると
はいっても、110 万円を超える金額が小さければ、納税もごくわずかです。贈与が進められるということを
考えると、十分に効果的な方法だといえます。
生前贈与で問題になるのは、相続開始以前の3 年以内(2024 年からは順次7 年以内に)の贈与相続財産とし
て扱われることです。ただ家族間の贈与でも孫や子どもの配偶者あての贈与であれば、この対象にはなりませ
ん。ほとんどの場合、孫や子どもの配偶者は相続人ではないので、贈与された財産を相続分として扱うことが
できないからです。暦年贈与の基礎控除額は、受贈者ひとりにつき年間110 万円です。財産を譲ってもいい
親族が多くいる場合は対象を広げれば税金対策の効果も大きくなります。

下記を参考にしてください。ご相談は是非E-MAIL:k-saito@legacy-es.jpまでお願いします。


”相続”おすすめ記事

  • 【相続】相続と金(ゴールド):の画像

    【相続】相続と金(ゴールド):

    相続

  • 【相続】デジタル遺産の相続:見落とされがちな現代の遺産管理とその備え前半の画像

    【相続】デジタル遺産の相続:見落とされがちな現代の遺産管理とその備え前半

    相続

  • 【相続】デジタル遺産の相続:見落とされがちな現代の遺産管理とその備え後半の画像

    【相続】デジタル遺産の相続:見落とされがちな現代の遺産管理とその備え後半

    相続

  • 遺言代用信託とは何か?~相続対策の新たな選択肢~の画像

    遺言代用信託とは何か?~相続対策の新たな選択肢~

    相続

  • 【終活】実家が「放置空き家」になる前に: の画像

    【終活】実家が「放置空き家」になる前に:

    相続

  • 控除以上に使える非課税特例の画像

    控除以上に使える非課税特例

    相続

もっと見る