各種控除で税金を抑えるの画像

各種控除で税金を抑える

相続

斎藤 一彦

筆者 斎藤 一彦

不動産キャリア7年

顧客からの信頼
フットワークの良さ
提案力




【相続】各種控除で税金を抑える



 

【複雑でも役に立つ各種の控除を使いこなす】

被相続人が亡くなったあと、相続人たちの生活を守るということも、遺産相続の目的のひとつです。そのた め、相続税には、遺族である相続人に有利となる、さまざまな控除が設定されています。 それらについて知らなかったために手続きを行えず、不要な税金を納めることになってしまう可能性もあり得 ます。そのような事態に陥らないためにも、きちんとその条件や内容について確認しておきましょう。 相続税に適用できる控除には、未成年者控除、障害者控除、贈与税額控除、相次相続控除、外国税 額控除、配偶者控除の 6 種類があります。同じ控除という名前がついてはいますが、相続税額の計算で、正味の遺産額から差し引いた基礎控除額とは別のものです。 相続税に適用される控除 2世代にわたって相続が発生する場合、祖父から父 へ、父から子へと移る過程で、同じ財産に2回課税されることになる。その納税負担の重複を避けるため の控除。1回目の相続から10年以内に2回目の相続が 発生した場合に限り適用。

【贈与税額控除】 生前贈与のうち、被相続人が亡くなる前3年以内 の贈与財産は相続扱いになる。しかし贈与税は 発生した年ごとに納税するため、すでに贈与税 を納めている財産に相続税が課せられる可能性 がある。その重複分は相続税から控除される。

【配偶者控除】 控除額の上限は、法定相続分の相続財産価額か、1 6000万円。この控除は、期限内に遺産分割が確定し て、相続税の申告を行っていることが前提となる。 なお、控除を利用して納税額がなくても、申告は必 要になる。

【外国税額控除】 海外に財産を所有している人が亡くなったとき には、財産がある国にも相続税を納めなければ ならない。納めた税額分を日本でも納めてしまうと重複して納税することになるため、日本で の相続税額からは控除される。 成人するまでの年数を基準に控除が受けられる。 「20歳になるまでの年数×10万円」が控除額。もしこの控除額が相続財産の総額よりも大きかった場 合、残った控除枠は、ほかの相続人に割り振ること もできる。

【未成年者控除】成人するまでの年数を基準に控除が受けられる。「20歳になるまでの年数×10万円」が控除 額。もしこの控除額が相続財産の総額よりも大きかった場合、残った控除枠は、ほかの相続人 に割り振ることもできる。 基礎控除はどんな相続であっても一律に、遺産額から減算するものでしたが、これらの控除は相続人や相続財産によって適用されるもので、相続税額を計算する際には、最後に計算されます。各相続人の相続分に応じて 割り振られた相続税額から差し引かれるのです。 では、それぞれどの程度の金額が控除されることになるのでしょうか。各控除について確認します。

 未成年控除 未成年でありながら相続人になった場合、相続税が課せられてもそれを支払うのは困難です。そのため、未成 年者にかかる税金の負担を少しでも軽くするために、この未成年控除という制度が設けられています。控除額 は 20 歳になるまでの年数×10 万円です。 もし控除額が相続分以上になれば、その余剰はほかの相続人の相続税から差し引くこともできます。たとえ ば、15 歳の弟と 23 歳の兄がそれぞれ 40 万円の納税を求められた場合を考えてみましょう。弟は未成年者 控除で課税額はゼロになり、弟の控除額(50 万円)のうち 10 万円分が余っているので、兄も納税額が 30 万 円で済みます。

 障害者控除 85 歳未満の障害を持った相続人が対象です。未成年者控除と同じような算出方法になっており、85 歳になるまでの年数×10 万円が控除されます。また、特別障害者の場合には、控除額が 2 倍になります。 相続税額以上の控除があった場合には、その分ほかの人の税額か控除することができる点も未成年控除と同様です。

 【二重納税を避けるために適用を受けられる控除】

 与税額控除 税金の二重納付を避けるための制度です。被相続人が亡くなる前の加算対象期間内に生前贈与を受けた相続人 にのみ適用されます。 贈与された財産に対して贈与税を納めていた場合、その贈与分を相談財産に戻して相続税額を計算してしまう と、贈与された財産に対して 2 回課税されてしまうことになります。そのため、贈与税として納めた分の金 額が相続税から控除されるのです。 ただし、仮に相続税以上の金額の贈与税を納めていたとしても、相続時精算課税制度を利用していない限り、 その超過分が還付されることはありません。贈与税として納めた金額が大き過ぎる場合、相続税で納める必要 はありませんが、払い過ぎた分に関してはそのままになってしまいます。

相次相続控除贈与税額控除と同様、重複する納税負担を避けるための控除です。たとえば、祖父が亡くなって遺産を相続した父が、祖父の死から 10 年以内に亡くなった場合、祖父からの相続財産が父に相続されるときと子に相続されるときの 2 回課税されてしまうことになります。それを避けるため、一定金額が控除されます。

外国税額控除 海外にある財産を相続する場合に限り認められる制度です。海外の財産を相続した場合、その国で相続税を納めることになります。そのため、そのときに納めた税額分は、日本で納税する際に控除されます。

配偶者控除 6 種類の控除で、もっとも金額が大きいのが、配偶者控除です。期限内に遺産分割の割合を確定し、相続税の 申告を行った場合、1 6000 万円、または法定相続分の税額が控除されます。ほかの控除と比べ、金額面 で非常に優遇されていることがわかります。法定相続人と比べても圧倒的に有利です。 ただし、この控除を利用する際には、二次(相次)相続に注意しなければいけません。この控除があるからといって、すべての財産を配偶者に相続させるのは危険です。 その相続の段階では相続税をゼロに抑えられるかもしれませんが、最初の相続分を受け取った配偶者が亡くなり、残された子どもがその財産を相続するときに、その子どもは親の分と合わせた実質的にふたり分の財産を 相続することになってしまいます。当然それだけ相続税は高額になり、子どもに大きな負担を背負わせること になります。そのようなことがないように先を見据えて計算し、財産分割を考えなければなりません。

【控除を受けるためには内訳がわかる計算書で申告】 

これらの控除を受けるためには、それほど特別な手続きは必要ありません。個別の書式などが用意されている わけではなく、相続税の申告書控除額を記載し、その内訳を明らかにした計算書を添付するだけです。 このほかにも、生前居住していた住宅の土地や事業を行っていた土地を相続する場合には、一定の要件を満たせば評価額が抑えられる「小規模宅地等の特例」という制度もあります。 これら、控除を利用することで相続税を抑えることが可能となります。

 


ご質問等ございました弊社代表の斎藤までご連絡お願いします。

”相続”おすすめ記事

  • 【相続】相続と金(ゴールド):の画像

    【相続】相続と金(ゴールド):

    相続

  • 【相続】デジタル遺産の相続:見落とされがちな現代の遺産管理とその備え前半の画像

    【相続】デジタル遺産の相続:見落とされがちな現代の遺産管理とその備え前半

    相続

  • 【相続】デジタル遺産の相続:見落とされがちな現代の遺産管理とその備え後半の画像

    【相続】デジタル遺産の相続:見落とされがちな現代の遺産管理とその備え後半

    相続

  • 遺言代用信託とは何か?~相続対策の新たな選択肢~の画像

    遺言代用信託とは何か?~相続対策の新たな選択肢~

    相続

  • 【終活】実家が「放置空き家」になる前に: の画像

    【終活】実家が「放置空き家」になる前に:

    相続

  • 控除以上に使える非課税特例の画像

    控除以上に使える非課税特例

    相続

もっと見る